去年発行されたケーキの切れない非行少年たち、一気読みしました。去年から話題の本で、本屋さんの売り上げランキングの棚にもよく並んでいます。
内容に触れすぎるのもよくないと思うので、さらっと内容に触れつつ、私が衝撃を受けたところ、考えたことを書きたいと思います。
≪目次≫
認知の歪み
この本の著者、宮口幸治さんは児童精神科医として発達障害や知的障害を持つ少年たちが集められる医療少年院で勤務した経歴の持ち主。
とある少年の診察で、宮口さんは忘れえない体験をします。複雑な図形を見ながら、手元の紙に写すという課題を与えたところ、少年は全く異なる絵を書いていました。
宮口さんは、少年の目には物事が歪んで見えているのでは?、ここまで見る力が弱いということは聞く力も弱いのでは?という可能性に行き当たります。
私は、”ひょっとしたら、これが彼の非行の原因になっているのではないか”と直感しました。同時に、彼がこれまでの社会でどれだけ生きにくい生活をしてきたのか、容易に想像できました。
つまり、これを何とかしないと彼の再非行は防げない、と思ったのです。
小学校低学年からサインが出始める
感情のコントロールが苦手、忘れ物が多い、勉強のやる気がない、遅刻が多い、集中できない、うそをつく、じっと座ってられない、その場に応じた対応ができないなどのサインが小学校低学年から出始めるとのこと。
この時に適切な支援の手をこの子供に伸ばしてあげることが重要です。
しかし、誰にも気付かれず、友達から馬鹿にされ、いじめにあったり、親や先生から「手がかかるどうしようもない子だ」と問題児扱いされることもあります。この場合、この子供の抱える問題はより深刻化すると宮口さんは懸念しています。
褒める、自尊感情を上げる教育が有効?
褒める子育て、自尊感情を育てよ!と、育児情報には必ずと言っていいほど書いていますよね。学校の先生たちも対応に困る児童には「褒めねば!」「話を聞いてあげねば!」「自尊感情を上げねば!」と奮闘されている方が多いそうです。
このことに関して、宮口さんは疑問を呈しています。
・悪い面ばかりでなくいい面を見つけたら褒めるというが、少しでも良いところをみつけてあげようと、通常なら褒められるほどのことでもないようなことでも褒めてしまう
・勉強ができずイライラしている子供に、「走るのは早いよ」と褒めたところで、勉強ができない事実はかわらない。
・週1回忘れ物をしてしまう子供に、「でも週4日は忘れ物をしていないよ」と褒めるより忘れ物をしないような注意・集中力をつけさせないと問題は根本的には解決しない。褒めることが問題の先送りになっている。
ぐうの音もでないよ・・・ ごもっともです。
前回のブログで、『パー子とムツゴロウをわが身に憑依させて褒める』と書きました。
↓前記事はこちら
息子を褒めなきゃ!と褒めなきゃ教の信者になりそうな勢いでしたが、この部分を読んですこし冷静になりました。
褒めてりゃそれでいいわけじゃないよね・・・。できなくて困っていることを他の事にすり替えているだけで、現実は何も変わっていない。
あと、自尊感情。
うまくいかないことがあると、大人でも自尊感情って下がります。仕事が、人間関係が、育児がだめじゃー!!(これは私)ってなることありますよね。
でも、ほとんどの人が自尊感情が低いからって犯罪を犯したり、不適応を起こしてはいません。
問題は自尊感情が低いことではなく、自尊感情が現実と乖離していること。
無理に自尊感情を上げる必要はなく、低いままでもいいから、ありのままの現実の自分を受け入れていく強さが必要なんだそうです。
やみくもに褒めたり、自尊感情だけを上げるだけがいいわけじゃないと教えられました。
自分が気を付けようと思ったこと
①まず、息子のサインを見逃さないようにしようと思いました。息子はまだ4歳ですが、これから年齢が上がると同時にいろんな悩みが出てくると思います。
もし困りごとがあったら「うちの息子はどうしようもないな」と諦めるのではなく必要な支援やトレーニングにつなげたいと思いました。
②さっきも書きましたが「とりあえず褒めとけ!」というのはやめとこと思いました。(例:「すごいね」「えらいね」と言っとけみたいなやつ)
息子を見守ってるからこそ、息子の努力や彼なりの葛藤、小さな進歩が見えてくるのかなと思うので、なんとなく「すごいね」でごまかすのでなく、その小さな進歩や努力を見つけて称えられる自分でありたいなと。
③ここまで書いてものすごいちゃぶ台返しですが、根詰めるのもやめときます。
育児は長いですし、いろんな情報があり、私はその都度真剣に受け止めてしまいます。できていないと「ああ、だめだ私」となったり、「これからはがんばらねば!!」とものすごい力が入ってしまします。
で、この〇〇ねばモードになると、自分にも子供にも厳しくなってしまいます。なんでできないのよ!!って。
このモードが自分の精神状態で良くないモードだと思っているので、参考にしつつ、その都度頭の片隅をかすめつつ、生活していけたらなと思います。
発達障害や知的障害のお子さんを育てていたり、そういったお子さんと関わる機会の多い方は読んでみてもよいと思います。あまり長い本でもないので、読みやすいです。